税理士事務所を承継する際に、誰もが事務所の売り上げを問題にする。当然の話だ。
引き受け手ばかりでなく、渡す先生も売り上げが事務所の評価を決めると考えている。
仲介者も事務所の規模からまず売り上げを推測し、話の進み具合で申告書などの資料を受け取ることになる。
通常、所長の管理体制が普通であれば、提供され間資料で事務所の評価は正確に出せる。
しかし、中には高齢や病のため、事務所の管理が不十分で、提供された資料だけでは評価できない場合もある。
というのも、確定申告書や顧問先一覧は、いわば過去の実績を表すもので、将来を約束するものではない。
管理が不十分ということは、所長の言葉だけを信じてはいけないと警告すると判断できることになる。
それでは、何から将来性を見るかと言えば、働き手を見るしかないだろう。
提供された資料に不備もしくは不正を感じさせるものがあれば、その″犯人″探しはまず職員に向かう。
所長に認知症などの兆候があれば、それをいいことに職員が都合の良い報告をするとも考えられることもある。
そこで引き受け手が疑心暗鬼になる前に、仲介者がチェックするが、職員から自らの″悪行″の告白は聞けない。
こうなると、承継の対象として評価はできず、所長(家族?)の思いは満足できる結果には届かない。
もちろん、都合よく振る舞っていた職員も承継できないから、最悪、顧問先だけを引き受けることになる。
最終的な事務所の評価は、一定期間経過後に引き継げた顧問先の状態ですることになり、評価は大きく下がる。
これで満足する渡し手の所長(家族?)は少ないが、これも管理不十分にした自ら身から出た錆だろう。