脳梗塞で身体が自由にならなくなって、3年が過ぎた税理士の家族からの相談がありました。
65歳を迎えたある朝まで、いつもは5時台に起きて、早々と事務所に向かい、職員が来るまでに一仕事。
ところが、いつもの起床時間になっても、起きる気配のない税理士の奥さんが、軽いイビキに気がついた。
奥さんは元看護士だっただけに、そのイビキがなんなのかすぐに気がつき、救急車を呼んだ。
手当が早かったので、右半身に麻痺が残り、また、会話には不自由するが、仕事はできるとは判断された。
しかし、利き手の右手が使えないことで、一人で実務をこなすことができず、塞ぎ込むことが続いていた。
毎朝、職員が来る前に行っていた仕事もできなくなり、職員にも辛く当たるようになった。
そんな日々が続くうちに、職員も一人二人と事務所を去り、相談を受けた日には家族だけになっていた。
そんな状況でも、先生は辞めず、家族の負担は増すばかりなので、引導を渡す役割を当方に求めたもの。
どんなに身体が不自由になっても、ご本人が辞めると言わなければ、資格を取り上げることはできない。
お客さんが、先生がいて、家族が実務をこなしていれば文句なしと判断すれば、仕事は続く。
だが、その家族が辞めようと決めても、ご本人は辞めたくないという、仕事が生き甲斐なのだ。
引導を渡して欲しいと言われても、初めてお会いする先生に、もうお辞め下さいとは言えたものではない。
案の定、先生は断固拒否の姿勢で、私はまだ出来る、お客さんを放り出すことはできないと話す。
他の先生と一緒になりませんかと話を向けても、相性が合う人はいないと全く取り合わない。
まとめ
最終的には、先生の判断を待つとなったが、資格者が自らの定年を決めること、本当に難しいと痛感した。