最近でこそ言わなくなったが、家庭を持った人のほとんどが核家族で、高齢者も巣立った子供たちとは会う機会は少ない。
だが、地方出身者は、この時期に夏休みの子供を引き連れて帰省するのが恒例行事になっている人も多いはず。
地方都市で開業する税理士の子供たちも、就職と共に大都市に出て、家庭を持ってからは夏と正月に帰省するのが楽しみの一つ。
なかには、高齢の父親に自動車免許の返上を迫るかのように、事務所の閉鎖をそれとなく勧める子供もいるという。
それというのも、母親から認知症の懸念があるとの相談があり、多額の損害賠償を要求されたら大変と行動に出たわけだ。
しかし、自分は大丈夫と誰もが言うように、それも子供に言われると、素直になれず、腹をたて、話を聞かないのが普通。
気が付いたときには、認知症真っ只中、職員も所長の指示に従わず、新たな職場へ移って行き、事務所はガタガタに。
こんな事例は人知れず起きているのだが、先生自らが判断できない状況に陥っているのを打開できるのは、先生の家族のみ。
そんな家族の話し合いが、この時期、帰省した子供たちと行われ、結果として秋に承継相談が増えてくるわけだ。
辞める決断は誰にもできず、本人だけが決めることだが、家族が暖かい目で見つめていくことこそが一番かもしれない。