所長税理士が売上の50%以上を占めている事務所は、職員2~3名までの小規模事務所というのが通例。
所長が現場から離れられず、自分がほぼ半数の顧問先を回り、職員には顧問先の情報は知らされない。
顧問先からも、所長が来なければ話にならないと、自分を放してくれないと言うが、果たしてそうか?
何もかも所長が…
中には、顧問先から資料を預かり、自ら入力作業も行っている所長もおり、まったくのプレーヤー。
また、入力作業は行わないが、決算書から申告書まで作成し、職員には一切説明なしという税理士もいる。
これまでの案件で、売上が1億円になろうという事務所の売上の60%余りを所長が担当していた例がある。
もし所長が倒れたら…
この承継では、所長が″独占″する顧問先を引き継ぐのに若手職員4名が必要になった。
もし、このケースで所長が病に倒れ、顧問先の情報を聞き出されなくなったら、引き継ぎはできなかったはず。
幸いにも、所長は元気で、引き継いだ事務所の代表者と共に、挨拶回りに精力的に取り組み、引き継ぎ終了。
引き継ぎ側に大きなリスク
しかし、引き継ぐ側から見ると、所長しか顧問先の情報を知らないという事務所は、承継適格事務所ではない。
所長は職員を指導し、職員がまとめた顧問先の決算書などを説明するだけにとどめているほうが、ありがたい。
売上の50%を超える顧問先を担当する所長税理士が経営する事務所は、引き継ぎ手にはリスクが高い。
引き継ぎに時間がかかるし、所長税理士の色がなかなか抜けないため、担当者も経験が必要になる。
まとめ
承継を考える場合には、出来る限り早めに、職員に顧問先を任せ、何時でも引退できる体制が必要になる。