税理士事務所の営業マンは所長だけで、職員は全く営業しないというのが、業界の常識になっている。
顧問先を増やしても、自分の仕事が増えるものの、その報酬は顧問料一月分の10%の金額がせいぜい。
その後は、利益のほとんどは所長の財布のなかに入り、営業した職員は増加した担当の処理に四苦八苦。
一回限りのお駄賃から制度見直し
このような一回限りの″御駄賃″から、その金額は数%だが、契約が続く限り、毎月支払われる制度に改正。
すると、どうだろう、今まで一件も営業しなかった職員が、毎月の営業日に積極的に働き、顧問先を獲得。
その営業日を繁忙期を除き、月に1日だけ、外回り担当者全員が営業に専念し、訪問先の営業結果を報告。
その営業先候補には、当然他の税理士と契約している企業だから、昔だったら、盗った、盗られたの対象。
営業したことが顧問税理士に知れれば、直ちに税理士会に呼ばれ、綱紀委員会できついお灸がすえられた。
しかし、今は自由競争の時代、日頃の情報収集で、税理士を代えたいと考えている企業に的を絞る。
担当者も毎月報酬が上乗せされるので、多額の報酬ではないが、塵も積もればなんとやらで、頑張るわけ。
積極的になった職員に結果がついてくる
情報収集は顧問先を訪問した際に、社長さんの話をよく聞くことから始まり、職員からも情報をもらう。
社長さんも税務の話を聞くより、耳にできない同業者の景況などが聞ければ、そのお礼と顧客候補を紹介。
まさにギブ&テイクで、互いに喜びを分け合うわけだから、外回り職員も積極的に動き、結果が付いてくる。
地方都市の事務所だが、毎月の営業日を設けてから、一人当たりの売上も年間1000万円超を維持している。
なぜ、売上を維持できているかを知った引き受け先では、同じ営業方法を採用し、顧問先の獲得に動いた。
職員もベースアップを自らの手で実現できるとあって、毎月の営業日には有力情報を元に市内を駆け回る。
その結果、それまで一切営業したことのない職員でも、一件、二件と新規顧客を獲得するようになった。
極意は聞く耳を持つこと
その極意は、なんと聞く耳を持つことに尽きるようで、まず、営業先の社長の話に耳を傾ける。
事務所の話は後の後、所長の話が終わり、社長から質問が来て、初めて事務所の説明。
それも社長の話から、顧問税理士に満足していないことに集中して、事務所のサービスを提案する。
一回の訪問で契約できることは少ないが、初回の面談で次回のアポを取れれば、まずは成功。
大概の候補は、断られなければ数回の面談で契約は取れるから、職員も翌月の営業日が待ち遠しい。
まとめ
引き受けた事務所の職員には、始めの一歩が厄介だったが、やってみればできないこともなく、一安心。
その結果、顧客は増え、事務所の売上が順調に伸び、職員の報酬も増え、まさに三者一両得となった。