税理士事務所の規模が拡大するにつれ、所長税理士は顧問先回りは担当者に任せ、決算説明のために担当職員に同行する程度になり、さらにそれさえもしなくなる。
職員が10人を越えるようになると、職員の業務をチェックしながら、経営状況を見守り、大事な顧客のみの相手はするが、それ以外は全く職員任せになる。
このような事務所を引き受けることは比較的やりやすいもので、担当職員が継続雇用できれば、顧問先は新たな税理士に引き継がれやすい。
顧問先にしてみれば、定期的に資料を引き渡す担当者の方が、所長税理士より馴染んでいるから、気軽に質問もできるし、時には苦情も言いやすい。
先生が辞めるなら…
その一方、所長税理士が多くの担当を持ち、顧問先も先生を頼りにしている場合は、引き継ぎ手も資格のない職員を担当させられないから、条件は厳しくなる。
通常、引き受け手は税理士法人が多く、所長以外に資格者はいても若手の場合、顧問先の経営者にしてみれば頼りないと判断し、顧問契約を結ばなくなる。
「先生が辞めるなら自分で探すから、」と、新たな承継者と契約しないケースもあり、所長が担当する顧客が多いだけ引き継ぎは難しくなる。
まとめ
これを解決するためには、承継を考え始めた時点で、所長の担当を減らす行動に出る必要がある。それができなければ、事務所の評価も下がることになる。
悩ましいことだが、プレイヤーとして引退し、経営者として事務所を存続し、職員の雇用を守るためにも、事前の承継対策を考えるべきだろう。