一般的に相続税の大増税が行われるまでは、税理士が一年間で扱う相続案件は全国平均0.9件と言われた。
相続専門の事務所もあり、間違うとと大変と、専門の事務所に流し、相続案件は扱わない先生も多かった。
しかし、大増税後は大都市圏を中心に、小規模宅地の特例を使わないと相続税が課税されることになった。
こうなると、零細企業のオーナーが死亡した時には、相続税の申告が必要になり、税理士の仕事は急増。
相続案件は事務所評価から除外
数年前の事業承継の際には、譲り手の税理士の売上を訊くと、相続案件の報酬はほとんどが零だった。
だから、相続からの報酬があった場合、その報酬はスポット収入として事務所評価から外していた。
ところが、一昨年ごろから、ほとんどの事務所が相続案件からの報酬があり、それも所長自らが担当。
日頃から、実務は職員に任せているのが普通だが、相続は評価などで、損害賠償もあり、自分で処理する。
それまでは、帳票や帳簿などのチェックが主業務だが、相続となると、遺族との打ち合わせ等複雑な業務。
しかも、税理士と絡むこともなかった人々との話し合いなど、気を遣うこと、日常業務と比較にならない。
かなり、高度のテクニックを使う必要のある案件などは、専門の事務所との協業も必要になる。
相続への関与に疲弊し…
そんな状況に疲れ切った、高齢の先生が当支援室に駆け込むようになったのも、ここ数年の傾向のひとつ。
いわく、毎年の税法改正を理解するのも時間がかかるようになり、相続も面倒で、扱いたくない。
お客さんの要望に十分に応えられなくなってきたので、そろそろ引退を考え、まずは相談、というわけだ。
まとめ
そう考えさせている要素の一つが、まさに相続案件であることも、相談者からの聞き取りから明白に。
やはり、自信を持って対応できない複雑な案件が増えれば増えるほど、引退の二文字が迫ってくるようだ。