税理士事務所の事業承継で、渡し手はもちろん高い評価を期待するが、はたして何が正しいのだろうか?
当然、通常のM&Aなら単純に年間利益の数年分を基に交渉することになるが、税理士事務所には馴染まない面がある。
というのも、事務所を開設した税理士が専ら営業マンとして顧客を増やし、その顧客との信頼関係で成り立っている。
そのため、収益力があると言われても、所長税理士が辞めてしまうと、他の税理士の下に走る人も出てくる。
その標準的な割合を出せるかと言われれば、答えはもちろんノーで、やってみなければわからないこともある。
しかし、それでは引き受け手のリスクばかり多く、簡単に手を出せないことになり、他人による事業承継は難しくなる。
納得できる評価を出すため…
通常の事業承継では、開業税理士が契約終了後、承継日に事務所を去ることはないので、顧客が減ることは少ない。
しばらくは、渡し手の税理士が引き受け手の事務所(法人)の役員として残り、顧客の減少を防ぐのが当たり前。
自らが辞めるためには、新しい税理士と顧客の信頼関係が構築されるよう、最大限貢献するのが普通だ。
そのためにも、双方が納得できる適切な評価案を出すことができる第三者を立てる必要があるだろう。
よく聞く話だが、十数年前までは相対で話を進めた結果、高過ぎとなっても、文句を言うことができなかったという。
今もある事務所からはこんな話は聞くことはできるものの、安く譲り失敗したとは辞めた先生から聞くことはできない。
まとめ
長い老後を悔いが残る形にしないよう、仲介者として適正な評価をだし、双方が満足できることこそ使命と心得る。