税理士が引退に際し、顧問先を仲間の税理士に譲ることはよくあること、しかも契約など水臭いと口約束だけで渡す。
顧問先には、後任の税理士を指名したのでよろしくと、引き継ぎもあまり手をかけずに任せてしまうケースも少なくない。
先生から正式な挨拶もないから、自分で税理士を探し、後任だという税理士とは契約しない経営者も出る。
このような引き継ぎが中途半端な事業承継は、比較的小規模な事務所が多く、職員がいない税理士も多い。
事業承継がクローズアップされてきたここ数年で、このような小規模な相対の承継では、相変わらずお金の話は曖昧のまま。
しかし、仲間の税理士から代価はもらったのかと訊かれ、お金の話はしないまま、渡してしまったことに気付く。
これらのケースでは、譲った顧問先の売上は1000万円に届かないのがほとんどで、面倒を見てもらえればそれで結構と考えた。
それでも仲間から、勿体なかったな、しっかりもらっておけば良かったのにと言われると、それもそうだと考え直す。
とは言っても、当初にお金の話をしていないだけに、引き渡し手から日にちもたち、実は対価を払って欲しいとは言いにくい。
貰った方は、助けてあげたんだから、今さらお金の話はないだろうと考え、つれない返事が帰ってくる。
新規の顧問先を手にいれるには、紹介業者に頼っているんだから払ってくれてもいいだろうと言っても、後の祭り。
互いの交流関係も気まずい思いで、ぎくしゃくしてしまうのが落ち、やはり最初からお金の話はしておかねばならないはず。