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税理士事務所の顧問先の情報は、どこまで要求できるのか

更新日:

税理士はお客さんの情報を漏らしてはならないと、守秘義務が課されている。
実際に、交流の広いお客さんの名前を明らかにすることで、その名を聞いた人が新規に顧問契約を結ぶ可能性もある。
それが営業に有効なことは、税理士であれば誰でも知っているが、これはご法度、守秘義務違反。
お客さんが、自分が顧問契約をしていることを他人に言っても良いと許可しても、多分税理士は言わない。

「有名芸能人の顧問税理士」とPR

だが、芸能人との契約が多かったある税理士は、イベントがある度に有名芸能人の顧問だと公言していた。
そのイベントも、税務署主催だったり、納税協力団体だったりしたが、何となく営業目的にも見えていた。
これは例外だが、税理士の多くはお客の名前を出すことはないし、事務所職員も厳しく教育している。

会計事務所の承継支援も守秘義務徹底

話は少し横道に逸れたが、それほど厳しく秘密を守ることを義務付けられているのは、承継段階でも同じ。
事業を他の税理士に承継することを顧問先に明らかにし、交渉段階で個別の情報を相手に渡すだろうか?
正確に言えば、お客さん個々に許可を得て、情報を提供すれば問題は起きないが、これは実情に合わない。
しかし、交渉がスタートして、契約の可能性もわからないうちに、個々の顧客情報を提供することはない。
だから、交渉段階では、顧客情報をはあくまでも仮名で提供し、秘密が漏れないようにする。
引き受ける事務所も守秘義務を負っているから、自己紹介するときにも顧問先名は一切明らかにしない。
互いに経営情報を詳細に説明し、引き継げる能力を、そして、引き渡す側も客からの報酬などを明示する。
同時に、引き渡す側は事務所の収支を明らかにして、事務所の評価を理解してもらうことになる。
その際、職員の働き方などと共に給与などの待遇も話し、事務所の実態を明らかにする。
同時に、自分の事務所の課題を明確に説明し、引き継がれた後に問題が起きないようにする。

まとめ

相手が聞き上手な税理士であれば、話しにくいことも、いつの間にか口に出していたなんてことにもなる。
どこまで情報を出させるのか、また、どこまで深く話を聞き出せるのかは、交渉の妙かもしれない。
引き渡す側の個々の顧客情報は、契約と決まったときに、初めて渡たされる。これも顧客を守るため。

  • この記事を書いた人

大滝二三男

事業承継・M&A支援室長

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