税理士事務所経営で収益性を考えると、
- 売上4000万円、職員は3名、専従者あり。
- 売上5000万円、職員は6名、専従者なし。
どちらが、所長の所得が多いか?
これまでの事例では、1)の方が所得が多く、所長も拡大思考はなく、所長の手が届く範囲で事務所を運営。
これらの事務所が承継対象になったとき、引き取り手側から見て、どちらの方が″良い案件″だろうか?
1)の場合、所長自らが顧問先を回り、すべての情報を把握し、引き継ぎの際には所長が動かないと、顧問先の了解が得られない。
2)の場合、外回りの職員がそれぞれの担当先の状況を把握し、所長も職員が同行するだけで、引き継ぎは可能と言う。
答えは簡単だろう。収益性は1)に軍配は上がるが、引き継ぎでは、2)の方が顧問先が離れる可能性は低い。
事業承継の容易さは…
また、1)は、所長が同行しなければならないので引き継ぎに時間が掛かる。その後も、所長の協力を仰がなければならないことが予想されるので、評価は下がる。
その一方、2)は、職員が引き継ぐ事務所に移籍するケースがほとんどなので、引き継ぎはスムーズに行われ、その後も担当代えする必要もない。
結果、引き受け手にとっては、1)のように所長がすべてを牛耳っている事務所より、職員に権限委譲している2)の事務所の方が手を挙げ安いし、評価も高い。
職員の質で大きく異なる
一般的に、マネジメントにウェートを掛けている所長の下で、職員が任された仕事をきっちりこなして事務所の方が、引き継ぎやすいという結果になっている。
所長が実務をしっかりこなし、手抜きをしていない事務所は顧問先の信頼も高いかもしれないが、事業承継では少々減点になる可能性は高くなる。