税理士が事業を承継すると、事務所を辞めなければならないのだろうか。
もちろん、事務所経営を辞めたいから事業を承継するわけだ。
しかし、事務所経営から引退しても、税理士資格は返上しない人も多い。
この場合、新たに自宅に事務所を置くが、税理士業務は一切行わない。
所属税理士として勤務続行
新たな事務所が所属税理士会が同じ場合には、これは厄介。
同じ地域で事務所を開くのであれば、顧問先には辞めたとは言えない。
自分達を他の税理士に売ったのではないかと、疑念も持たれかねない。
それを避けるためには、元の事務所で税理士を続ける。
税理士の身分としては所属税理士になるが、対外的には顧問などに就任する。
税理士同業者は、実務は任せ、所長から気軽な顧問に転身と見るだけ。
顧問先も創業所長がそのままいるし、職員も変わらなければ、安心だ。
顧客対応は必要、でも重荷からは解放
また、法人に引き継いだ場合は、所長業務は法人から来る税理士に移行。
所長は法人の支店の社員税理士に就任し、従来通りの顧客対応をする。
もちろん、実務は任せ、顧客の相談等に専心し、リスクからは離れる。
時には税務調査に対応することもあるだろう。ほとんどの場合、新任の所長にが対応するが、承継当初のみ自身で対応。
時間がたてば、これからも解放される、いや自身で離れるようになる。
この社員税理士も所長交代後そう長く続けるわけではない、長くて5年。
こうなると、先生自らがもういいでしょうと全面撤退を主張される。
社員税理士を支店として確保しなければならないので、法人も準備をする。
次の社員税理士が決まれば、前任者との交代もすんなり行く。
この段階では、承継した顧問先も法人との信頼関係も出来上がっている。
創業所長が社員税理士となり、さらに数年後に引退する、顧問先も納得だ。
弊社が仲介してきた承継案件では、この形が圧倒的に多い。
まとめ
先日も2年前に法人の支店となり、社員税理士に就任している先生に会った。
上京するので、報告をかねて一度会いたいというのだ。はてな?
問題が起こっているのではないかと不安になったが、杞憂に終わった次第。
土曜日の午後、ターミナル駅でお会いし、食事を共にした。
いわく、年賀状をもらいながら返事を書かなかったので、会いたかった。
さらに、承継して本当に良かった、感謝を直接伝えたかったのだと言う。
これには恐縮至極で、新年早々仕事のやりがいを教えていただいた。
食事をしながらの一杯も大変美味しくいただけたし、所長の笑顔がなにより。
こんな話が次々と書けるように、これからも頑張りたいと思っています。