税理士事務所の業務は、相続・贈与の評価はどうなるのでしょうか?
お子さんが税理士資格を取得し、税理士として父親の事務所を相続します。
この時、相続税の評価はどうなるのでしょう。
税理士の皆さんご存知ですよね。評価はゼロで、相続税はかかりません。
ところが、税理士ではない相続人にとっては、父親の事務所の評価はどうなるのでしょう。
税理士業務から上がる収入は年間数千万円、父親の所得も毎年数千万円ある。
その業務は資格がない子供には承継できないが、資格を持った兄弟が一銭も払わずに承継する。
他の資産や現金は相続財産として、均等に分けられるのだが、税理士事務所分は除外される。
そんな馬鹿なことはないだろう。父親の財産なんだから、それを正当に評価をして財産分与すべきだ。
こう考えるのも、相続人としては当たり前かもしれない。
株式会社であれば、その株式などを評価して、財産分与となるわけだが、評価ゼロは理解不能。
そこで裁判になっている例もある。
しかし、税理士の営業権は税法上認められていないので、相続となると、やはり評価はゼロとなる。
それなら、他人の税理士に事務所を譲渡して、その譲渡代金を相続人で分けようということにもなる。
父親が長年の苦労の末、築き上げた事務所を、税理士となった子弟が継いでいく、うらやましい限りだ。
こんな親孝行の税理士に降って湧いたような財産分与の要求に、解決策はあるのだろうか。
もちろん、事務所を承継することによるコストなどを差し引いて、事務所の評価をする。
当然、税理士資格を持っている人しか事務所を引き継げないので、他の相続人には現金を渡すしかない。
しかし、果たして、そのことを理解したうえで、財産分与できる税理士はどれくらいいるのだろうか。
他の相続人は要求するかもしれないが、税理士である相続人が承継を拒否したら、財産はなくなる。
関与先の皆さんは1か月もしないうちに他の税理士の所に移って行ってしまう、職員とともに。
答えは、あまり無理な要求をしないこと。
税理士事務所を承継することが、父親の期待を満たすことであることを、他の相続人も理解すべきか。
父親である税理士としては、承継の際に他の相続人にも自分の考えを明確にしておくべきであろう。
それこそ税理士としての”争続対策”ではないだろうか。
事業承継支援室長
大滝二三男
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