いよいよと言うか、やっとと言うか、中産階級までもが海外への資産フライトを始めている。
税理士業界でも、早い人は10年以上前に、はしりとして、海外で生命保険を買っていた。
この数年、税理士事務所がお客さんを香港やシンガポールに連れて行くことが増えた。
その目的は、現地の銀行に口座を開き、資産を移すこと。そして、現地の生命保険を購入すること。
日本では海外の生命保険などを購入できないから、現地で健康チェックを受けて、晴れて契約。
何故か海外の生命保険を買うのか。当然、日本の商品と比べるはるかに財産価値があるから。
たとえば、日本の終身保険は、契約時の確定金額が支払われるのが普通。
これに対して、かの地の生命保険は、長く積み立てればその分保険金そのものが増えていく。
保険金額を1000万円としても、30年間毎月3万円支払うと、その保険金総額はなんと1億円に。
こんな商品もあるのだが、これには当然リスクもあり、見込んだ保険金が手に入らないケースもある。
もちろん、海外の商品は保険料控除はできないし、見込み違いで、保険会社が倒産しても保証はない。
こんな商品をだれが購入しているのだろうかと訊けば、なんと日本の保険セールスマンが買っているという。
生命保険の成績優秀者で組織するMDRTのメンバーである友人も、10年前から買っていると話す。
さらに言えば、日本の有力生保の現地法人は、現地の商品と同じような商品を売っているという。
なるほど、そんな商品が目白押しのかの地で商売をするには、日本と同じ商品では誰も買わないでしょう。
このMDRT日本のメンバーの半数以上がカタカナ生保の営業マンだが、彼らも一様に購入者になっている。
海外の商品を購入するにはどうしたらいいのかと訊けば、「かの地のMDRTのメンバーを紹介する」との返事。
確かに同会に所属する営業マンであれば信用もあるので、一度紹介してもらおうかと考えもする。
いずれにしても、日本の生命保険商品のえげつなさは、かの地の商品と比べて天と地ほどの違い。
これも長く”横並び”で大蔵省の庇護のもとで、生保業界が存続してきた弊害そのものなのかもしれない。
誰がその恩恵を受けてきたのだろうか?
そろそろ、消費者として生命保険を考える時に来ている気がする。
その先駆を税理士業界が、走り始めたのも事実だろう。
税金だけでなく、お客さんの利益を考えないで、コンサルティングはできない時代になってきた。
事業承継支援室長
大滝二三男