税理士事務所の残業と言えば、確定申告時期や3月決算5月申告法人の処理の時期。
これらの時期は事務所の職員全員が残業をするので、経営者にとっては手当てが大変な時。
電子申告が採用されるようになってからは、確定申告の終了日が飛躍的に早くなってきている。
とはいうものの、お客さんが申告に必要な資料などを早く提供しなければ、処理は進まない。
クリニックなどの保険料収入に関する資料は2月末になるので、同顧客を抱える事務所はこの分遅くなる。
したがって、その担当者の残業時間はどうしても増えてしまうという。
最近の傾向として、税理士法人などで採用されているのが、裁量労働制。
これは時間外労働は月60~80時間とし賃金を決め、この時間内であれば、別途残業代はなし、というもの。
仕事大好きな”専門家”職員が多い、この業界の経営者にとって、この賃金制度は”うれしい”制度。
80時間と言えば、勤務する日は毎日4時間残業することになるので、大変な長時間労働。
しかし、この時間以下の残業でも、80時間分の残業代は出るシステムだから、職員にとっては有難い。
この賃金システムを採用している事務所に吸収・合併される、残業代支給の事務所職員はどう感じるだろう。
毎日数時間は必ず残業するという人にとっては、朗報になるのか、それとも手取りが少なくなるのか。
大いに問題になるところだが、コスト管理を徹底する事務所経営者には、毎月の支出が読めるのだ大歓迎。
このシステムは成長を続ける税理士法人には、広く採用されるようになっている。
その経営者の一人は「時間で仕事を評価はしません。仕事の中身・成果を見ますから」とはっきりしている。
残業する人、悪い人ではないが、見方によっては仕事の遅い人、要領の悪い人という評価もある。
しかし、関与先から帰ってから、業務を始めなければならない業態だけに、このシステムの賛否も別れる。
2年前に承継を仲介した個人事務所の職員は、税理士法人との合併の際、残業を理由に辞めたことがある。
個人事務所の場合、定時退所を徹底しているところもあるので、残業が義務付けられた事務所を避ける所も。
税理士法人に吸収・合併される個人事務所の職員には、採用労働制は馴染まないのかもしれない。
労働条件の変更には気を遣わなければならないのも、経営者の務め。
労働基準監督署が目を光らせていますし、すぐに駆け込む職員もいると言いますから、楽ではありませんね。
事業承継支援室長
大滝二三男
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