「誰が産んでくれって頼んだ。勝手に作っておいて!」。親子げんかの末の子供の捨てゼリフ。
よくあるセリフだが、反抗期で、すこしばかり成長の早い子供が口にするようだ。
もちろん、税理士試験に合格し、親の後を継ごうという息子や娘が発するセリフではない。
でも、心のどこかでそう感じて言うかも知れない。
というのも、昨日書いたように、承継する事務所のお客さんのほとんどは、親が苦労してつかんだお客。
そのお客さんたちが、息子だという理由だけで、継続して仕事をくれるわけだから、親に文句は言えない。
でも、親とはひと味違うサービスを提供したいと思っていても、お客さんの方で余計なことはいらないという。
お客さんには経営上参考になると考えていても、税理士事務所にお客は期待をしていないことも。
それでも、若手の税理士さんには、これまで通りのサービスでは、お客は引きつけておけないと考える。
そこで、古いお客で記帳代行そして税務申告だけで良いという向きには、新たなことは提供せず。
自身で獲得してきた若手の経営者には、一緒に経営を考えていける道を模索する。
もちろん、一緒に遊ぶことも、親父さんも同じことをしてきたはず、時には羽目を外すことも。
しかし、経営者とそのサポーターという一線は越えず、時には高見から意見を述べる。
それでも、事務所の基盤は相当期間、親父さんが作り上げた者だけに、いつまで経っても頭は上がらない。
「今に見ており、オレだって」なんて気張ることもないので、何時かは自分の代になる。
時間が決めてくれるのだが、それでも親に頭が上がらない方が、良いのかも知れない。
これが一番の事業承継対策かも知れません。
事業承継支援室長
大滝二三男