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税理士事務所、譲り受けの要件、その6

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税理士会支部の紹介で、事業承継できた場合、その謝礼は?

支部のメンバーが亡くなり、後継者がいない時、その遺族は所属の支部長などに相談するのが通例。

そこで、昨日書いたように相互扶助制度を利用して、承継者を決定する。

その決定方法は、各支部によって異なり、後継者としての適性を決める際の条件等は定かではない。

顧問先の提供を希望する税理士はおおいのだが、その候補者を公募することも聞いたことがない。

このようなケースで承継した場合、遺族には承継の対価などが支払われるのだろうか。

その対価が支払われたものでは、5年、10年と毎年故人の奥さんに10~20万円が支払われたケースが多い。

なかには、顧問先の面倒を見てあげるので、その謝礼など支払う必要がないと判断する支部もある。

こうなると、遺族は”財産”と考えていた事務所経営は、所長の死亡とともに無になってしまうことに気付く。

もちろん、後継者となる資格もない状況から考えると、仕方がないと諦めるに諦められないところ。

当支援室でお手伝いする場合には、事務所の評価を行い、その対価を支払うことを条件にする。

そこには遺族の生活を見守る必要があること、故人の遺志もそこにあると考えるから。

その支払方法は、分割方式がほとんど。これは引継ぎができない顧問先もあるので、その結果みるため。

引継ぎができなかったものまで支払う必要がないと、双方が考えるから了承される。

その具体的な対価の決定だが、これはまず事務所の評価からスタート。

顧問先の経営状況などを総合的に検討し、事業の永続性の観点から評価を行う。

そこで決定された評価額と、双方の考えを判断して、対価が決められる。

その金額を分割で支払うのだが、その分割方法は双方で決める。当支援室はそのアドバイスをする。

これまでの7年間にお手伝いをした案件で、途中で対価が支払われなくなった事例はない。

双方が納得して決めた金額だけに、承継者が途中で”踏み倒す”ことなどできないはず。

同時に分割方式だから、日々のあがりの中から毎月支払うことができ、資金が豊富になくても対応が可能。

もちろん、承継契約後に対価の50%を支払う契約もあるので、このようなケースでは余裕の資金が必要。

とはいうものの、順調に引継ぎができれば、承継者にとって資金の手当てはほとんど心配ない。

これが税理士事務所の承継で、楽な点といえばその通り。他の事業ではほとんど見られない”特質”。

このよな事業を引き継いで、対価を支払わないといったことはどう考えても、ありえない話。

オーバーな表現をすれば、感謝をして対価を支払う税理士さんこそが、譲り受けの要件を持つひとかも。

事業承継支援室長
大滝二三男

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