確定申告を前に、税理士の名義貸しなどの取り締まりが厳しくなってきているようだ。
今年に入っても、名義貸し等で数か月間の業務停止の処分を受けた税理士も出ている。
先日も会計法人(記帳代行会社)から、ある税理士に”助け”を求める連絡があったという。
長年、記帳代行を業とし、税理士に税務を依頼していたという。
しかし、記帳代行会社は、税理士事務所にある会計システム(PC)が設置されているのが普通。
記帳代行から決算、さらに税務申告書の作成までできてしまう。
その際に、税務申告に関しては、税理士がチェックをし、その監督のもとに申告書が作成されていれば…
名義貸しのケースではそういう慣習はなく、ただ対外的に先生に税務はお願いしているというのみ。
実際、記帳代行会社に依頼している企業や自営業者は、税理士の権限などには無頓着。
日頃の帳簿と税務申告書を作成してもらえれば、それだけで十分満足。
言ってみれば、そこが付け目で営業しているのが、一部の記帳代行会社だともいわれる。
中には、税理士事務所の職員たちが、所長の目を盗んで記帳業務を行い、他の税理士の申告書に署名。
嘘のような話が数年前発覚し、数名の職員が退職し、署名をしてくれた税理士と一緒になったことも。
こうなると、実は名義を貸していた税理士は論外だが、それを誘ったのはやはり記帳代行会社。
どちらが悪いと言えば、役所の立場ではもちろん、税理士。処分を受けるのも税理士。
その一方で、記帳代行会社の処分は、対社会的なことでは果たしてどうだろう。
脱税をほう助していたとの事実が分かれば、罰を受ける。
しかし、名義借りだけではそれほどきついお咎めは?
数年前、明らかに老先生の名義を借りている会計事務所に、税務署の総務課長が調査に来たという。
その際、名義借りの事実を察知した課長さん、「実は私はこの7月に退官するんです」とさりげなく言ったとか。
退官後、税理士として独立するための”営業活動”だったかどうかは定かではないが、実に厭らしい。
自らが会計法人に入って、税理士として正当な業務を展開するとでもいうのだろうか、それも疑問。
こんな事例を聞くにつけ、名義を貸しているほうが悪いのか、それとも借りるほうが悪いのか?
資格ビジネスのグレーな部分で業務を行っている旧税理士事務所の”残党”も少なくないだけに。
今の段階では、やはり代表者が税理士で、その監督のもとで会計業務を行う。
税務は代表者である税理士の事務所が責任を持って処理する。
この形が理想だが、バリバリ営業ができる記帳代行会社の経営者には我慢ができないことでしょうね。
だれもが税務も可能になる時代が来てもよさそうですが、どうなんでしょう?
事業承継支援室長
大滝二三男