先月、事業承継契約が終了した、地方都市で開業する70歳代の先生のお話。
事務所経営40年、税務署勤務を途中下車し、開業。
30歳そこそこのOBに斡旋ももちろんなく、たった一人の事務所開き。
真面目な性格と、高度経済成長の波に乗り、事務所経営は順調に。
子供たちも成長し、長女は平凡なサラリーマンの嫁に、次女は税理士試験に合格。
夢を持った次女は、都会の事務所に勤め、間もなく、同僚の税理士と結婚し、事務所開業。
子育ての終えた所長は、3人の女性職員とともに、可もなく不可もない事務所経営を継続。
ところが、数年前に奥さんの認知症が明らかになり、昨年後半からは、自分のことができなくなる状況に。
それに輪をかけけるように、事務所の最年長者の女性職員の親も、介護が必要ない状態になった。
最も信頼するその職員は、所長の奥さんの状態も理解し、自分はパートとして勤務。
事務所業務に穴が開くことはなかったが、所長が長時間顧問先などに行くことはできにくくなった。
それも奥さんの認知症が進み、監視をしていないと、外に出て帰れなくなってしまった。
職員の家族も徐々に症状が進み、パートの時間も短時間いせざるを得なくなった。
こうなると、都会に出た税理士の娘さんもサポートすることもできず、ついの廃業を決意。
幸いにも、事務所の承継はすぐにお相手を見つけることができたが、先生としてはやはり顧問先が心配。
現在業務はすべて新事務所に移り、職員の一人もそちらでこれまで同様の顧問先のサポートを継続。
所長は、新事務所の経営者とともに顧問先のアフターケアに時間を割いている。
もちろん、長時間家を空けることができないので、顧問先には短時間の滞在。
その結果、ほとんどの顧問先が新事務所の顧問を受け入れ、所長の心配種は杞憂に終わった。
このように介護のために事務所を閉鎖しなければならない所長さんもいらっしゃいます。
どうか勇気を出して、ご相談ください。病気のことはもちろんご相談には乗れません。
でも、事務所に関しては、あら湯すご相談応じられますので、お気軽に。
事業承継支援室長
大滝二三男