友人から「1年前に亡くなった親父さんが、45年以上前に買っていた土地を売ったんだけど、いくらで買ったのわからない。来年に確定申告しなければいけないそうだが、経費としていくら引けるのか、知りたいんだがね」といった電話がありました。
私が、税金の専門誌を発行している会社勤めであることを知った上での相談なので、「取得費というのは、売買価格の5%だよ」とは言っておきました。その答えが「本当かね。取得費5%とは少なくない?」との返事。
確かに、売買益に課税だから、当時の契約書とか領収書、預金通帳などがあれば、取得費は分かるはず。でも、45年以上も前のこと、契約書なども残っていないし、買った本人が亡くなっているのでは、どうしようもない。
でも、5%の取得費とは、45年前の地価と現在を比較すれば、現在の売買価格の5%は、当時の売買価格の15~30%になっているのかもしれない。しかし、友人は納得することなく、「もう少し調べてみるよ」と電話を切った。
専門家の税理士さんに聞くと、「5%でしょうがないね。」と冷静そのもの。20%の税金を取るなら、取得費も20%ぐらい目てほしいものだよね、とも語り合ったのだが、そうは問屋が卸さないようだ。
友人はサラリーマン卒業生だから、税理士には知人はいない。そして、父親が亡くなった時も、相続税の基礎控除額以下の遺産しかなかったので、申告することなく、今回も質問できる税理士がいなかったという。
今の時代、不動産屋も親切に教えてくれるだろうが、税金のことまでは無理なのかもしれない。でも、来年の確定申告では税理士さんに譲渡所得の申告を依頼するのだろうから、税理士を知るにはいい機会。
同時に、こんな形で我々団塊の世代には、税金、特に相続税問題が相当身近になってきている。これこそこれからの税理士さんが”商売”になる世代だと思うが、「定年退職組が狙いとはいい商売ですね」、となりますかね。
今回は、お彼岸を前に、事業承継ならぬ、相続財産の譲渡に関する小さなお話でした。
事業承継支援室長
大滝二三男