この1年で税理士法人の支店展開がスピードアップしています。
税理士法人がどのような動きをしているかといった正確な情報は、一般的には把握できません。
全国の税理士情報に詳しい業界の媒体では、これらの情報を把握しています。
税理士事務所の経営情報については、個人事務所の先生方はこれまで無関心でした。
しかし、経済状況が厳しい中、自衛策として、税理士法人の動向に目を光らせるようになっています。
その背景には、全国規模の税理士法人が支店展開をすれば、お客を取られるのではといった不安があります。
個人事務所と、全国展開をしている税理士法人のお客さんとで、違いがあるかといえば、答えはノー。
同じ土俵で戦っているので、やはり個人事務所に脅威となっているのも事実。
しかし、個人の力で顧客を集めてきた個人事務所と、税理士法人の支店とでは経営戦略には違いがあります。
税理士法人の顧客獲得の手法は、中小企業の社長さんを対象にしたセミナーなどで顧問先を増やしています。
同時に、金融機関から顧客を紹介されるケースもあり、そのルートは多岐に及びます。
この点が個人事務所との大きな違い。つまり、金融機関と太いルートを持っている個人はごく少数。
その一方で、大手税理士法人は、金融機関の要請で支店を創設することもあり、この点が大きな違い。
しかし、金融機関が紹介する顧問先には限りがあり、それだけで支店の経営が磐石というわけではない。
そのため、税理士法人の支店を任された税理士さんは、個人事務所の所長さん以上に営業に走り回ることも。
言ってみれば、猛烈サラリーマンの姿を髣髴とさせる姿がそこにはあります。
業界で法人制度ができて9年。そろそろ、税理士法人の巨大化が目に見えるようになってきています。
さて、この5年間で、業界はどうなっていくのでしょう。個人対法人の戦いの結果はどうなるのでしょうか?
その結論は、”猛烈サラリーマン税理士”が、果たして生涯法人と共に歩むのかどうかで決まるでしょう。
事業承継支援室長
大滝二三男