およそ40年前くらいだろうか、節税目的で会計法人ブームが起きた。
全国で税理士が社長を務める会計法人が、雨後の筍の如く誕生。
代表者は所長税理士がなるようにと、当局も指導。
それも税理士事務所と法人の゛売上゛の比率もそれとなく指示。
全国一律かと言えば、答えはノー。
国税局単位でその比率は異なり、地方ほど税理士の方が売上は多い。
その論理的な理由付けは行われておらず、不公平という声も。
時代も変わり、社長を務めていた税理士が死亡すると、厄介な話に。
というのも、税理士事務所は資格がなければ、引き継げない。
ところが、会計法人は故人の家族が引き継ぐことが多い。
そこには資格者がいないから、資格者の協力者が必要になる。
つまり、実務ができなくても資格さえあれば、事務所を引き継げる。
実務は会計法人に勤務する職員が、全てをこなす。
パソコンが登場するようになってこの20年、誰でも作業が出来る。
もちろん税務上必要な知識が全くなしでは、問題にならないが。
一般的な法人や個人の申告なら、会計ソフトが答を出してくれる。
高齢の税理士の多くが、パソコンにてを出さず、職員に任せる。
この実務の引き受け手が、故人の家族が代表を務める会計法人。
実務を知らない税理士は、会計法人が作成する申告に署名、押印。
電子申告ともなれば、会計法人が税理士のIDを管理し、申告も処理。
こうなると、税理士は名義貸し状態で、報酬も給与程度で我慢。
主な収入は、全ての職員を雇用している法人に入ることに。
そう、家業であった税理士事務所の収入の大半を引き継げてしまう。
このような法人に対するチェックが厳しくなっているわけ。
ただし、税理士法では、処分を受けるのは税理士のみ。
収入の大半を手にしている法人には、お咎めなしなのだ。
税理士が処分されれば、その穴埋めの税理士を探し出すことに。
その繰り返しで、悪名のついた地方の会計法人もある。
しかし、国税出身の税理士への斡旋がなくなった今、当局も遠慮なしか。
そう、税理士監理官や専門官の主な仕事は税理士の非違の把握。
これから、ますます会計法人に厳しい目が向けられると予想される。
事業承継支援室長
大滝二三男