税理士事務所に勤務する職員の待遇を決定するのは、所長が一人。
”愛いやつ”と評価をすれば、他の職員よりも給与は高くなる。
仕事はよくできるが、何かと所長に文句を言い、いわゆる一言多い職員は煙たがれる。
それでも顧問先の評判もいいので、仕方なく職員の中では上位に位置づけている。
まさに、所長との相性で、職員の待遇が決められる。まさに日常茶飯事のこと。
そこで働く職員に、昇格といったことを考えているのだろうかと、質問をしてみた。
帰ってきた言葉は、「そんなこと考えたこともありません。毎日の業務を無事こなすだけです」
ええ、マンネリと言われてもしょうがないが、そう毎日が、ルーティーンワークそのもの。
少しだけでも昇給があればいいのだが、現状ではベースアップなどは考えもしない。
そう、職員が10人未満の個人事務所では、この3年間で10~20%お客が減少しているところも。
中でも数人の事務所で、これだけ減収になると、昇給どころか、人員整理も見えてくる。
まさに正規職員から、パート職員への入れ替えなどを行っている事務所も少なくない。
このような事務所に勤務する人に、昇任・昇格などを言っても始まらない。
所長自らがこのような考え方をもっていないのだから、言わずもがなだ。
しかし、税理士法人で成長している事務所では、まさに昇格・昇任による昇給が当たり前。
いわば、サラリーマンとして、一般の法人と同じ環境下で仕事をこなし、組織に貢献する。
組織が成長すれば、そこに働く職員の労働環境、特に給与はよくなっていく図式。
専門家集団であり、資格者ゆえの待遇も用意されるが、無資格でも管理ポストも用意されている。
そうでなければ、組織として成長する要素は限りなく少なくなってします。
幅広く可能性を秘めた法人組織に吸収される個人事務所の職員が、考えることはなんだろう。
法人に入ったら給与は保証されるだろうか、退職金はあるのだろうか、など給与への関心がすべて。
そこには、働きが認められて昇格し、管理職に就けるなどとは考えもしないのが圧倒的。
もちろん、個人事務所でも、職員が一歩ずつポストを上がるようにしている事務所もあるがごくごく少数。
だから、ポストのことを言われて、業績を残せばポストを用意すると言われても、現実感がない。
でも、法人組織に吸収されて段階で、そのことに目覚めれば、可能性が飛躍的に伸びる人も出る。
それこそ、事業承継をする側の経営者からすれば、そんな人材が発見できれば御の字。
事業承継にはこんな側面もあり、吸収された側の職員が冷遇されるわけでは決してない。
そんな事業承継の仲介をやってきているのが、弊社の事業承継支援室です。
事業承継支援室長
大滝二三男