税理士事務所の営業は、所長のみと書きました。資格のない職員は、営業ができないと言われますし、事実積極的に顧客を増やそうとする職員はほとんどいないでしょう。
その大きな理由は、自分が増やして報奨金をもらっても、それは一時的で、その後の月々の収入は所長の懐に入ってします。併せて、増やした顧客の担当も自分がしなければならず、仕事が増えるだけと。
間違いをすれば、これまた自分の責任。仕事は増えるが、収入は増えない。ますます後ろ向きの仕事しかしない、できない職員となってしまう。ベテランになればなるほど、仕事への責任も大きくなるので、営業まで手が回らない。
そんな停滞する事務所を尻目に、職員が顧客を増やすと共に、提供するサービスも職員らが自ら研修し、10人に満たない事務所で、年収が1000万円を超える人が半数以上という事務所がある。
もちろん、職員の一人当たりの売り上げも平均1500万円を超えている。実の驚くべき実績を残しているが、その事務所の経営方針は、働いただけ給料は払うし、未収金が出れば、給料から罰金を取る。すべてが手集金。
顧問料の自動振替なども行わない。職員が毎月お客さんのところに顔を出す。常にコミニュケーションをしっかり取り、お客さんの要望を最大限実現する努力を職員が率先して実践している。
所長はこれらの職員の仕事ぶりをしっかり把握し、業務に行き詰っている職員が居ないかどうか常に目を光らせ、耳をそばだてている。「職員が思う存分働いてくれないと、事務所はダメになりますよ」と所長は言う。
この事務所、営業すればするほど給料も増える。顧客満足度が高くなれば、客からの紹介も自然と増えていく。何もかもいいこと尽くめのように思われる。それを証明するのが職員の定着率。この10年誰も退職していない。
こんな事務所は本当に一握りで、例外でしょう。でも、所長と職員が同じベクトルで動き、ビジョンもそしてゴールも同じところにあれば、できないことではないだろう。先生のマネジメント力がものをいう。