そうなんです。
これまで数十年、税理士として働いてきたが、仕事がなくなったら?
定年がない税理士にとって、仕事を辞めると、どうなるのだろう。
毎日のように、顧問先の社長から連絡は来ていた。
それが一切なくなるのだから、電話からは解放されるわけだ。
ところが、先日会った定年後のサラリーマンは、気の抜けた風船状態。
何のために、今自分がそこにいるのか、しぼんだ風船に息を吹き込めない。
言ってみれば、自分の存在意義を確かめられない状況に陥っている。
これは顧問先を持たない、責任が緩い人でも、こんな状態になる。
それに対して、会うたびに胃がキリリと痛む顧問先を相手にする税理士は?
ストレスが一番いけない膵臓がんに悩まされる税理士は少なくない。
引退することで、不治の病から身を守れることができる人の例も多い。
しかし、自らの引退を考える時、身を引いて、何をするのか決めていない。
現実問題として、誰も次の仕事を薦めてはくれない。
そう、サラリーマンであれば、自ら次の仕事を探すしか解答はない。
でも、税理士事務所の所長は、次がない。
辞めたら、次はない。だから、辞めたくない。いつまで続けたい。
しかし、一般企業のような形で、経営者を続けられない宿命にある。
税法が分からなくなれば、それでジエンド。
その事自体を理解するようになれば、辞めるのは簡単な筈。
でも、分からないと言うこと言えるのは、そうはいない。
辞めるにも実は相当勇気がいる筈。なければ、肚はきまらない。
男の終末を飾るのは、本当に難しい。
l事業承継支援室長
大滝二三男