こんな連絡がありました。
「事業承継の話を詰めていたんですが、土壇場でお相手の先生から『死ぬまでやる』ような話があり、契約の話まで行きませんでした」
電話口からは、本当に気落ちされた声が響いていました。
この話は、数週間前、相対で交渉を続け、承継の対価を決定する段になって、客観的な評価をした方がいいということで、弊社への依頼を双方で検討されていたのです。
ところが、前述のように、事業承継の話そのものが途中で挫折してしまったので、弊社への依頼もできなくなったという承継希望事務所の担当者からの連絡でした。
弊社が仲介した場合には、今回の電話のように、途中で話が打ち切られたケースは余程のことがない限りありません。
一度もなかったと言えばうそになりますが、正式に事務所の評価をする段階までいって、話がストップしたことはありません。
事務所の評価をするためには個人情報を含め、数々の書類が必要です。それらをすべて提出するとなると、事務所の内情がすべて明らかになりますので、委譲する先生がフラフラしている段階では資料は出てきません。
ですから、その資料がすべて提出されれば、、話はスムーズに進みます。ただし、その提出された資料に”灰色”のものがあることもあります。その際は、弊社が正確な資料の提出を依頼します。
かつで、これらの”灰色”の資料でに対して、弊社が誠意ある説明を要求しました。しかし、最終的に説明を拒んだため、仲介者として、承継希望者に了解をいただき、話を打ち切りました。
その数年後、この”灰色”の資料を提出した税理士さんは、新聞沙汰となる事件の渦中で、税理士資格を自ら取り下げています。
今回ご連絡をいただいたケースでは、その詳細はもちろん分かりません。守秘義務を犯してまで、その内容を把握するようなことはしませんので、今後弊社の承継希望事務所として登録することを勧め、電話を切りました。
現在の経済情勢を考えると、会計事務所の事業承継はますます増加する傾向にあります。数多くの事例を経験している者として、どうか、”事件”になるようなことがないよう祈るばかりです。
事業承継支援室長
大滝二三男