税理士さんが事務所を閉鎖するとき、その動機は何でしょう?
自らの力の限界を感じて事務所を閉鎖するという例は、他人の目には分かりません。
病気になり、事務所経営のプレッシャーには耐えられない。そこで、仲間の先生から「何で?」と言われながらも、本当のことは言えず、事務所をたたむ人もいます。
もちろん、先生も高齢になり、それと同時に信頼している職員も先生を超えるほどに歳をとっています。そこで、職員から退職を申し出ることが出てきます。
先生は、その高齢の職員が辞めると言ってきたら、そろそろ事務所を閉鎖しなければならないと考えていたものの、それが現実になると、やはりさびしいものがあります。
現場の実務からほとんど離れているのが、普通ですから、実務担当の職員の辞職は事務所の閉鎖ない直接繋がります。若い人を採用し、初歩から教え込むだけの気力は先生にはありません。
こんな事例が山とあります。つまり、先生は実務から遠くの昔に離れていたために、職員がノーと言えば、それに従わざるを得ないということ。
職員は増長し、先生の権威も地に落ちるといった事務所も少なくありません。生涯税理士として頑張りたいという先生もいらっしゃいますが、それもしっかりとした職員が居て初めて言えること。
宋文洲さんが「経営者として一番難しいのがさようならを言うとき」とそのブログで書いていましたが、税理士事務所経営者として、本当に難しいのが資格を返上するときでしょうね。
事業承継支援室長
大滝二三男