地方都市では、外回りの従業員には車は必需品。
税理士事務所でも、通勤とともに顧問先回りにも車を使用する。
この車の費用を事務所として、様々な方法で職員に払っている。
例えば、ガソリン代を走行距離に応じて、時価で支払う。
その金額のある一定部分だけを支払うのは、公私の区別ができないため。
それ以外に、車検費用や保険料を負担する事務所もある。
また、費用ごとに個別払うのではなく、1キロ当たりの金額を決める。
この場合、ガソリン代を若干上回る金額が支払われることになる。
ある事務所では、ガソリン販売企業が採用している金額を採用。
所長によれば、「最も妥当な金額だ」といい、職員も納得している。
この金額には、税金や車検代なども含まれた金額だと言う、
さらに多くの事務所が採用しているのが、運転中の事故に備えた傷害保険。
掛け捨ての保険料で、金額的にはそれほど高額なものではない。
この保険では、死亡の際にも保険金が支払われる。
また、業務中の死亡にも生命保険を掛けている事務所も少なくない。
こちらも掛け捨てで、死亡の際に払われる保険金も100万円程度が普通。
しかし、なんと死亡保険金が800万円の保険を購入している事務所も。
これが掛け捨てと言うから驚き、職員6名で年間100万円程度の保険料。
これを20数年続けているというから、大変な福利厚生費の支出。
現実に保険金を受け取った職員は、これまでだれもいない。
しかもこの事務所の場合、外回りの職員にはさらに嬉しい待遇があった。
というのも、車検代、自賠責保険料、自動車税そして車両代までも負担。
5年もすると、事務所から車の購入費の7割近くが還ってくる勘定。
それゆえ、500万円以上する外車を乗り回していた職員もいた。
毎年の車両関係費として、70万円超を受け取り、大助かり。
このような大盤振る舞いの結果、高齢な所長さんの所得は惨め。
事業承継した時には、ほぼ全員の職員の給与より収入は少ない状態に。
しかも、運転資金として2000万円近くを貸し付けていた、赤字経営。
それでも、事業承継する税理士登場で、経営の第一線を退いた。
その条件も貸付金相当額の対価も分割払いで、話は決着。
結果、従業員の"特典"はことごとく見直されたことは、当然の事だった。
いかがですか、職員にこんな雇用条件を出せるほど、儲かっていますか?
事業承継する際に、厚待遇を条件にはできにくい状況ですかね。
事業承継支援室長
大滝二三男