退職金がない税理士事務所や税理士法人が増えてきています。
これに伴い、事業承継の際には、退職金を引き継ぐことはありません。
この理由として、譲り渡す先生の債権債務は一切引き継がないことを、契約条件としているからです。
長期間に渡って勤務している職員の退職金は年を経るに従って増加します。
たとえば、中小企業退職共済年金にしても、若い人と年長者では事務所が負担する共済掛け金も差があります。
新しい雇用主にしてみますと、職歴だけを考えると、全員が新規採用者の扱いになります。
だからといって、共済金を同額にするわけにもいきません。
その従業員の評価も新たな評価基準が登場しますから、移籍前と同じ金額でいいのかどうか判断に迷います。
もちろん、同じ中退金に入っている事務所が譲り受けをした場合には、同額を負担する例はあります。
これは雇用主がその積立金を管理する必要がありません。
同時に、退職した際には従業員の口座に振り込まれますから、事務負担がない分、そのまま継続することも。
しかし、独自の退職金規定を設けて、長年そのままになっているような場合は、雇用主の負担は大変です。
うっかり積立をしていない例が良くありますので、これなどは承継代金をそのまま退職金に充当することも。
積立はない、規定はある事務所を承継する側としては、”隠れ債務”ですから、これは引き継ぎません。
ですから、承継時に引き渡す側の税理士がその退職金を清算する必要が出てきます。
職員サイドから言えば、職歴加算が切れてしまいますので、途中で清算することには不満も出ます。
しかし、それを理由に退職したのでは、この不況業種・税理士事務所で新たな就職先はありません。
不満はあるが、仕方がない。もうひと頑張り新しい雇用主の下で頑張ってみよう。
退職金規定が無くなっても、顧問先のことを考えると致し方ないと、諦めもつくようです。
退職金がもらえない中小企業は当たり前のようになりますから、そんな時代になってしまったのですね。
事業承継支援室長
大滝二三男
9月25日、弊社セミナールームで「税理士事務所の事業承継セミナー」を開催します。
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