税理士さんたちが法人組織ができるようになったのが、平成14年。すでに満八年が過ぎました。想像通り、大型の税理士法人がぐんぐん成長しています。
税法自体が頻繁に改正され、個人の税理士さんでは対応できないほど、複雑な税法体系となっているのも、税理士法人の急成長の大きな要因。
この税理士法人制度は、個人の税理士さんの事業承継を推進すべく、現在TKC全国界の会長を務める大武健一郎が財務省の現役の時に立案、法制化されたもの。
法人制度は親子の税理士が法人を作って、事業承継するといったことを想定せず、監査法人のようなパートナーシップでの組織化がメーンの目標だった。
監査法人が今のように巨大な組織になるまでには、30数年以上費やしているので、税理士法人の8年では同じような組織化はまだまだこれからだ。
そこで、先生がたはなぜ、弁護士法人や監査法人のようなパートナーの有限連帯責任性を主張しないのだろうか。
自らが署名したものについては、無限責任、パートナーが署名したものは給与の3年分までの限度で連帯責任を取るというもので十分ではないのだろうか。
それとも、税金の損害賠償責任など対象の税金に限定されているから、それほど高額にならないから無限連帯責任で結構だといわれるのか。
この無限連帯責任があるために、いわゆるパートナーの社員になることの躊躇する税理士さんも少なくない。若手の税理士で能力があっても給与は少ないので、もしも無限連帯をなったら背負いきれないという声も聞こえてくる。
「社員になりたくないのは、将来的に独立するからだ」という声にも一理あるが、パートナーになりうる優秀な人材が成長する際の足かせになっては、業界の発展、強いて言えば顧客へのサービスの向上も放棄することになりはしないか。
どうか一日も早く、有限連帯責任制にして、自らの過ちは無限の責任を負うが、パートナーの責任を無限に背負うのは制度的に辞めるべきではないでしょうか。
事業承継を組織として対応していくのできるように、そして日本だけの税理士ではなくアジア地域の税理士として活躍していただくためにも、早めに手を打っていただきたいものだ。
事業承継支援室長
大滝二三男