昨日の税理士さんの会合で「真の意味で事業承継とは何だろうか?」と、議論になりました。
発言されたのは、父親から事務所を引き継いだアラカンの先生。「自分が承継したものの、本当の意味で承継できたと思えるのは、自分が息子に承継した後ではないだろうか」
こうなると、その先生の生き方がどうであったかという話になってしまうので、一般論としての「事業承継とは?」の答えは出てこない。
承継した側から考えるとき、事務所の慣習や風土を理解し、そこに働く従業員の満足度を十分に満たし、意欲を持て新しい事務所のために勤務できる体制を作り上げ、そして十分なサービスをお客様に提供し、顧客満足度を充足する。
ここまでくれば一応の事業承継は合格点になるだろう。しかし、経営者としては事業承継に要した費用を含め、利益を計上できないとなれば、胸を張って承継してよかったとはならないはず。
当然、金銭が必要な事業承継と、親から子への事業承継では評価は異なる。他人の事務所を引き継ぐには歴史や風土が融合し、そこの働く従業員たちの融和も必要になる。単に「今日から俺が所長だ。言う通りにやれ」ではアウト。
そこにはかなりの時間と忍耐が必要になってくる。「金を払ったんだから思うようにやる」といっても、従業員はその恩恵は受けてないのだから、「新しい所長はずいぶん横暴ね」なんて噂をし、舌を出しているかもしれない。
ただ一般の事業承継と異なる点は、会計事務所を他の税理士が引き継ぐケースでは、その事務所が赤字でどうしても前所長は経営ができないという理由ではないということ。その理由は歳と病気。倒産ではないから職員もある程度のんき。
それだけに傲慢な職員もそのまま在籍し、時には新所長の足を引っ張るどころか邪魔をする。「俺がすべてを牛耳っている」とばかりに横柄な態度をおる職員も報告されている。
これなどと比較をして、アラカン先生の事業承継はほとんど心の問題。父親との葛藤で事が済んでいる(失礼をお許しください)、まさにうらやましい事業承継劇。本当に真の意味で事業承継の成功とはどうなんでしょうね。
事業承継支援室長
大滝ふみお
でした。