職員5人以下で、確定申告時期を除くと、残業無しという事務所が多い。
実際、パートの主婦などを雇っている事務所では、この傾向が強い。
税理士事務所に残業は付き物というのが、業界の常識。
顧問先から資料を受け取り、事務所に帰りつくのが、夕方。
それから資料の整理が始まり、入力作業等やると、当然終業は遅くなる。
担当を多く抱える職員は、どうしても時間に追われることになる。
それが習慣化してしまい、就業時間を大幅に超えることに慣れてしまう。
所長も「彼は良くやってくれるよ!」と、残業も当然と考える。
ところが、残業代の不払いなど社会問題化するなかで、考え方も変化。職員は
規模の大きな事務所では、残業のチェックによる業務の改善へ方向転換。
その一方で、残業は一切なしの事務所も多い。
このような事務所が事業承継で、残業の多い事務所と契約することもある。
この場合、残業なしの事務所の職員は、素直に事業承継に賛同するのか?
個人の事務所の場合には、お客さんのみを引き継ぎ、職員は引き継がず。
職員も雇用する例では、ほとんどが法人による引き継ぎ。
それも支店化により、業務体制もそのまま引き継ぐことになる。
もちろん、無理矢理残業する必要はないので、労働条件も変化無し。
こうなると、残業なしの業態が引き継がれるので、職員も安心。
給与も現状維持が普通なので、引き継ぐ法人の経費負担も大きくない。
良いことだらけのようだが、問題は経営者と職員の相性。
これだけは、外から見ていても分からない。
「相性が合わないから、辞めます!」となるとは、防ぎようがない。
新しい経営者には、心のケアも重要視してもらいたいものだ。
事業承継・M&A支援室長
大滝二三男