ここであえて言いますが、税理士の事業承継ではありません。
税理士事務所の事業承継に関する対価が、どのような所得になるかをあえて書きます。
昭和47年、今から42年前の広島国税局から国税庁に問い合わされ、その回答が今まだ生きています。
その内容は、税理士が事務所を閉鎖する際に顧客を他の税理士に紹介。
その対価は、どの所得になるかというものでした。
回答は、税理士は一身専属の立場にあり、その死(廃業)とともに顧客との契約は消滅しています。
したがって、営業権として譲渡することも認められない。
つまり、のれん代といった評価は一切できないという判断から、雑所得ということになるとの回答。
昭和47年当時は、現在のように税理士法人もなく、組織として承継するということもなかった。
引き渡す先生も、お客さんを紹介するその謝礼として、なにがしかの対価を要求したのでしょう。
よく聞く話として、先生が元気なうちは顧問として、毎月数万円支払っていた。
その後、先生が死亡されたのちは、奥さんが元気なうちは毎月数万円を支払ったという。
ところが現在の事業承継は、単なる顧問先の紹介に終わらない。
引き渡す側の先生の事務所を新たに税理士法人の支店とし、先生はその支店の社員税理士に就任。
法人の支店となる事務所は、個人事務所の備品等も含めてそのままの形で継続。
職員も個人事務所時代と同様に雇用する。
言ってみれば、まさに事業譲渡を受けて、個人事務所の形のまま、法人の支店となった格好。
引き渡す先生は、自らが経営していた事業をそのまま譲渡する形になる。
さらに言えば、先生も税理士法人の新設支店の社員税理士(役員)になる。
これは、事業の譲渡以外の考えようはないのではないだろうか。
確かに税理士や公認会計士は、一身専属の資格者。
だからといって、事業形態が変わった現在に、42年前の国税庁の回答を踏襲するのはおかしくないか。
「税理士の事業承継の対価は、顧問先を紹介するだけの雑所得」、果たしていいの?
事業承継支援室長
大滝二三男