税理士事務所にとって、今年の年末調整で新たなツールが出現する?
それが、納税者のマイナンバー制度。
税理士事務所には、厄介な゛秘密゛を預かることになるのだが、
実はこれをしっかり管理できれば、顧客が他の事務所に移らないという。
多くの従業員を抱える企業にとっても、マイナンバー管理は重要な業務。
個人の秘密を漏らすことが厳禁だから、担当者のみが扱うことになる。
社内で「マイナンバーは?」といった質問は、間違っても大声ではできない。
メールで質問しても、そのメールが誤送付されたら、その時点でアウト。
今はそれほど神経質にならなくても良いようだ。
しかし、数年後に完全実施となると、マイナンバーがすべてを牛耳る。
まさに個人の財務は、すべてマイナンバー無しでは動かなくなる。
カードもなくし、ナンバーも忘れたとなると、金融資産は買えない。
同時に金融取引ができないし、確定申告にも支障を来す。
このマイナンバーを管理できることが、実は会計事務所の戦力になる。
法人で管理できるところはでも限界があれば、会計事務所と提携。
給与計算、源泉徴収業務を委託しておけば、当然管理も委託することになる。
年末調整を委託する企業がほとんどなので、ここでも威力を破棄する。
企業がマイナンバー管理を任せるようになることも考えられる。
これこそ、会計事務所にとって、ビジネスチャンスが広がる。
例えば、源泉徴収だけだった企業従業員もお客にできるかもしれない。
サラリーマンの家庭全員のナンバーを知り、管理することがスタート。
相続の際にも、相続人が企業経由で被相続人のナンバーを聞いてくる。
これにより、申告を請け負ったりできる可能性も出てくるわけだ。
言ってみれば、企業の経営者のみならず、全従業員の秘密を確保する。
企業にしてみれば、秘密を握られることが少なければ、少ない程良い。
単純だが、面倒くさいことはやりたくない。
一度で済めばそれに越したことがないので、管理者をなるべく代えない。
結果、余程のミスがない限り、一度つかんだお客は離れがたくなる。
そんな良い話ばかりではないが、確かにマイナンバーはツールになる。
それもこれまでにはなかった信頼関係を強めるツールではある。
これを手放すことは、競争相手にビックチャンスを提供することと同じ。
客離れを防止するための、政府からの゛贈り物゛かもしれない。
事業承継支援室長
大滝二三男