昨年暮れ、肺癌を患った税理士さんが相談に来られた。
事務所の職員は3名、何れも家族があり、何れも中高年。
相談に来られた時は、数値が悪くなり、事務所に出てくるのも辛いという。
幸い職員が業務を熟知し、ルーティンワークは任せっきりでも大丈夫。
顧問先の信頼もあり、先生なしでも十分仕事はできる。
でも、自分が死ねば、職員は路頭に迷う。
それは避けるにはどうすればいいのか?
職員が納得する形で、事務所の存続を図りたいというのだ。
職員の給与なども現状のまま雇用を守り、顧客も守る。
売り上げの規模からすると、引き受けられる税理士も限られる。
そこで所長だけでなく、職員全員を前に後継候補を提案した。
当然、引き受ける税理士も理解を示し、すべての条件を提示。
もちろん、先生のご家族にも事前に了承を取っていた。
不安だらけの職員に直接説明することは通常ないが、今回は例外。
それだけに、事務所で職員からの質問を受け、誠心誠意お答えした。
その結果、交渉開始後1月で決着し、この1月から新体制で再出発。
しかし、契約成立後の昨年暮れ、先生から電話があり、入院するという。
すでに呼吸器なしでは動けないので、病院でゆっくりするという。
それからほぼ40日後、先生は逝去された。
こんなに早く逝かれるとは、想像もしなかった。残念だ。
「明日から入院ですよ」との電話の声だ、今も残っている。
ご冥福をお祈りします。
事業承継支援室長
大滝二三男