これまでに、病を理由に事業承継(M&A)された税理士さんは、数十名。
その病の多くがガンであり、術後数年経ってからの病状悪化のケースも。
術後、免疫治療を終え、転移を見守る形で、日常生活に復帰。
事務所経営も数ヵ月は病院や自宅療養を経て、現場復帰。
その最中に、当支援室に相談に来られるケースも多い。
ガンが再発したときには、これまでのように仕事ができない。
お客さんに迷惑をかけるし、職員を不安な状況に追いやる。
ともに、税理士に対する信頼が薄れていくことも考えられる。
職員も不安が募り、安心できる職場を探そうとする動きも出てくる。
所長にしてみれば、それらの不安を払拭することもできない。
そう考えたとき、有力な事務所と経営統合し、バックグラウンドを強化。
病気が再発し、体がいうことを効かなくなっても、経営は問題なし。
復帰が不可能となれば、結果的にM&Aとして、現金を手にできる。
家族に資金を残し、そして職員にも退職金の手当てもできる。
最近では、自らの死期を意識するようになった時点で、手を打たれる。
昨年の確定申告直前に亡くなられた先生も、一昨年の春から相談。
先生は肝臓がんを7年前に患い、相談時には手の打ちようがなかった。
そのため、家族従業員を含め、職員全員の雇用を条件に交渉開始。
経営統合として、お客さんや職員にも語り、事業承継は完了。
昨年の秋の事例は、昨日も書いたように、交渉から1ヶ月で契約。
それから40日で先生は逝去されたが、職員たちは現在も業務を続けている。
何時命が失われるか、誰にもわからない。
対策は遅すぎることはない。
先生が亡くなってからでは、遅過ぎます。
お客を奪い合う、草狩り場になるという修羅場が待ち構えています。
そうなる前に、先生の勇断が必要になります。
悲しみをさらに深くしないためにも、早過ぎることはありません。
事業承継・M&A支援室長
大滝二三男