70歳過ぎの肺がんが見つかった税理士から、突然の連絡が来た。
電話では、税理士法人を立ち上げたいので、相談にのって欲しいと言う。
この先生とは20年近くのお付き合いがあるので、翌日に事務所に伺った。
土曜日の午後だったが、休日出勤の顔見知りの職員に挨拶し、所長室に。
所長はの口から、「肺がんで近々手術のため入院する」とビックリ発言。
肺がんと税理士法人の立ち上げの関係が、結び付かない。
病気に打ち勝ってから、法人にしても良いのではないかと訊いた。
その答えは、自分が元気なうちに従業員に退職金を払いたい。
税理士事務所を廃業する訳ではないので、退職金を払うための法人化。
事務所も会計法人保有なので、個人で買い上げ、その資金も活用。
子供たちも全く会計とは異なる分野で働き、事務所は継げない。
しかし、自分が死んだときに子供たちに相続で面倒をかけたくないと言う。
そのために事務所も税理士法人に出資する形で、維持することに。
法人化することで、事業の継続が維持され、お客さんにも迷惑をかけない。
従業員も法人化の際に十分な退職金を手にすれば、安心して働ける。
家族も今回の自分の思いを十分理解し、応援してくれていると言う。
セカンドオピニオンを聞くなかで、経験を積んだ名医に執刀を依頼。
手術ができる程度の肺がんなので、手術後に法人を設立。
完治は無理だろうから、法人運営を社員税理士に任せられるようにする。
職員上がりの社員税理士なので、同僚逹にも信頼が厚い。
そうすることで、自分の精神的な不安も少なくなり、療養できる。
ここまで考えた上の税理士法人の立ち上げ、是非とも成功して欲しい。
そして、肺がんにも打ち克って、元気に代表を続けてもらいたい。
相談にのった者として、手術の成功を祈り、元気な仕事ぶりをみたい。
事業承継支援室長
大滝二三男