税理士も年齢と共に、考えてもいないポカが出るようになるという。
先日会った先生も消費税の税額をチェックし、申告書を提出。
念のため、税務署の担当者に訊くと、オーケーの返事。
ところが数日後、その担当者から、「先生、計算間違いが!」との電話。
担当者も先生が数字をチェックされたと思い、オーケーのサイン。
しかし、先生は手打ちの数値を、コンピュータから出た数値と思い込み。
たまたま、自ら電卓を打ち直すことをしなかったと言う。
税務署の担当官も、日頃の先生の業務を見てきたので、軽い気持ちでOK。
先生いわく、若い時はコンピュータから打ち出されたものも、すべてチェック。
担当官もまずは数値を確認してから、後日了解の返事を出したのだろう。
しかし、経験が長くなり、慣れが生まれ、その結果がポカに繋がった。
先生にしてみれば、それも歳のせいと考え、事業承継を考えるきっかけに。
今回は税務署の担当官との間で問題は解決したが、損害賠償になることも。
先生の計算違いで、税額を過小に申告書、加算税を課されたようなケースだ。
税額そのものが大幅に増えなければ、損害賠償までは行かない。
しかし、相続税の評価の間違いなどがあり、他の専門家が登場すると、
その際は必ずといって良いほど、損害賠償事件に発展する。
数ヵ月前に2億9千万円の損害賠償判決が出たのも、このケース。
しかも、相続対策を断った会社社長の死亡がきっかけになった。
相続を依頼された税理士が、告発に踏み切るように指導されたようだ。
その結果、税務に詳しい弁護士が登場し、対応の甘かった税理士が敗訴。
これほど多額の賠償金額を負わされる例は少ないが、用心は必要。
しかも、損害賠償事件は、税理士は廃業後も時効は10年間もある。
収入がなくなった後に賠償責任を負わされたら、世間並の生活は無理。
その時はたぶん体調もよくないだろうし、踏んだり蹴ったり。
そんな状況に陥らないよう十分気配りをし、仕事の内容をチェックする。
職員任せの仕事では、目の届かないところも出るので、細心の注意を!
相続などは経験豊かな税理士の応援を頼むのも、リスク管理上必要かも。
いずれにしても、日頃から損害賠償にならない対策を講じることですね。
事業承継支援室長
大滝二三男