今やM&Aは、後継者不足を理由に、あらゆる業種で盛んに行われている。
業種に特化したM&Aコンサルタントも、個人から法人まで種々雑多。
M&Aに絡んでコンサルタントによる不法行為も、マスコミを賑わす。
そんななかで、ある資格ビジネスの事業承継で、珍しい゛事件゛が、、、
税理士同様に国家資格を持っている人しか、事業承継できない業種。
経営者であった父親が死亡し、息子さんは無資格者。
事務所内には数人の資格者がいて、彼らに事務所を譲ることが父親の遺言。
息子さんは交渉事が苦手ということで、某コンサル会社と契約。
それに基づき、コンサルと事務所内の資格者の間で、交渉が開始された。
詳細は分からないが、承継の対価で折り合いが会わず、交渉決裂。
何としても、資格者に承継しなければ、事務所は解散しなければならない。
そうなると、息子さんには親父さんの゛遺産゛は一切渡らなくなる。
息子さんには、自ら引き受け手を探すこともできず、コンサルに全面委託。
そこで、突如突きつけられたのが、コンサル契約の更新。
その内容は、コンサルの手数料が、なんと10倍に引き上げられたのだ。
藁をも掴む思いの息子さんは、その提案を抵抗することなく受けてしまった。
人の弱味に付け込んだとも、言われてもしょうがない強引な値上げ。
実際にこんな例があるのだろうかと、M&A業者に訊いてみた。
誰もが、そんな話は聞いたことがないと言い、嘘でしょう、とも言う。
その手数料は、5%から50%になり、最終的に1億円で事務所は売却。
そう、依頼主より、コンサルタント会社の方の取り分が多いのだ。
売却代金を受け取った依頼主は、その収入を雑所得として申告する。
もちろん、手数料は経費になるが、税金を払うと3000万円しか手に入らない。
最初の契約から考えると、およそ3000万円が無くなったことになる。
実際の税金がどうなるかは定かではないが、コンサル会社は大儲け。
さてさて、このような契約変更が認められるのだろうか?
そもそも、依頼主が認めてしまったのだから、法的には問題なしか?
騙しとは言わないまでも、信義則に反するように思うのだが、いかに。
弊社のこれまでの仲介案件で、途中で契約変更をしたことはない。
しかも、譲り手の最大利益を追求した処理をしてきたので、理解不能。
こんな事例があるんですね、業者は慎重に選びましょう!
事業承継支援室長
大滝二三男