ある企業の話ですが、経理を担当して20数年。言ってみれば、経理担当のお局さんがいます。
社長は3代代わっていますが、経理担当者は彼女だけ。
顧問となっている税理士事務所の担当者も先生以外は、この間、3人代わっています。
もちろん経理に関しては当初、税理士さんが指導。困ったことがあれば、先生が赴きました。
その結果、この十数年は経理担当者が事務所を訪れることはあっても、先生は事務所から出ません。
そうこうしているうちに、税理士事務所の職員が代わりますと、先輩の職員が指導に当たってきました。
ところが、先生自身が病気になり、決算を1か月後に控えて、なんと1か月も入院する羽目に。
しかし、その顧問先は経理担当者が要領をしっかり身に付け、税理士事務所の職員を指導。
先生が退院した時には、決算書などもまとめ、先生のコメントを待つばかりとなりました。
もちろん、税務申告者は先生の指導で作成することだ出来、同時に株主に決算説明書も書き上げました。
ここまで来ると、自社ですべての経理・税務申告書の作成までできてしまいそうです。
しかし、やはり最後の決算と申告書はプロに任せるのが当然と顧問の先生に依頼する体制ができている。
そんな顧問先に対して、病気を理由に身を引くことになった税理士は、担当の了解が必要と後継者に話す。
これを受けて、後任に指名された税理士も、経営者と経理責任者に面談。
幸い、お眼鏡に叶って、無事顧問に就任することができた。
もしも、この経理責任者が首を縦に振らなかったら、この話はご破算になっていたところ。
経営者もほぼ経理の全権をこの人に任せているので、このような形で承継が終わった。
それほど信頼されてる経理担当者とのこれからの仕事には、会計事務所も神経を使わなければと、背筋を伸ばす。
事業承継のお手伝いをしていると、時にはこのようなケースにも遭遇しますが、まあまれなケースですね。
事業承継支援室長
大滝二三男