事業承継を前提に、通常業務の一部を承継候補者に委託する。
両者で合意しても、顧問先はその事実を知らないことも生じてくる。
つまり、税理士に負わされている守秘義務に違反する懸念が生じる。
顧問税理士に会計業務を委託したはずが、了解もなく、他人が処理。
顧問先の経理情報が依頼先から流れることは、ご法度のはず。
しかし、業務処理が十分に出来ない場合には、委託するのも一案。
この場合には、関与先にその許可をもらう必要があるのも事実。
これを怠っていると、守秘義務違反で、国税当局から処分が下る。
そこで、顧問先に対して、将来的に事業承継を行うことを話す。
その上で、承継候補者と関与先との間でも、委託契約を結ぶ。
これは、会計法人が会計業務を処理する時として同じ。
重要な関与先ほど、この手法で処理ができれば、将来も明るい。
承継者も事前に顧問先の情報が分かるので、ハードルは低くなる。
現実に相続分野では、資産税が苦手な先生は、エキスパートに委託。
処理をした税理士が受けた報酬の一部を、紹介料として受け取る。
申告に責任がないので、依頼主としては、これまた安心というわけ。
はたして、通常の会計業務でこれが可能か、課題も出てくる。
しかし、関与先も後継税理士の仕事が、交代前に見られることになる。
これにより、関与先も事業承継そのものに、抵抗感を持たずに済む。
事業承継の両税理士(法人)も、交代後の課題を事前に把握できる。
゛三者一両得゛と、歓迎すべき手法なのかもしれない。
事業承継支援室長
大滝二三男