今や税理士事務所の経営者も、第二世代から第三世代に入ってきている。
しかも、昭和40年代からバブルまでもほぼ25年、いい思いをしてきた先生からのバトンタッチ。
経済成長期に創業した税理士事務所の経営者は、営業しなくても、お客は付いてきた。
さらに仕事をすれば、その後に大きなお金がついてきたから、打ち出の小槌状態。
税理士として一旗揚げた人は、そんなに浪費するようなタイプではないから、小金は貯まった。
家庭を持ち、女房・子供になに不自由させることもなく、中流階級としてその地位を築いた。
中小零細企業が経済成長とともに、大きく飛躍したのと歩調を合わせ、税理士事務所の順風満帆。
そんな時代を過ごしてきた税理士が、この10数年間で引退の時期を迎え、事務所の新陳代謝も。
そんな老兵の事務所を引き継いだ税理士で、営業力がない人は、今や非常に厳しい状況。
先達は、何もしなくても顧問先が増え、それとともの収入も大幅に増えた人たち。
事務所として営業活動も経験していないから、その営業のノウハウは全くなし。
営業を一から学ぼうにも、それを指導できる人も少なく、中には藁をもつかもうと、だまされる人も。
しかし、信用が第一の税理士事務所。
税理士としての自分を顧客にアッピールすることで、その信頼を勝ち取ることに専念。
といっても、人の集まるところで、演説をすることもできず、ただ、顧問先に口コミを依頼するのみ。
それだけに、顧問先にお願いする”勇気”がない先生には、営業は地獄。
人付き合いができないから税理士を選んだという言い訳は、それこそ経済成長期の言葉。
今は、人付き合いが不得手であれば、事務所経営はやらない方がいい。
税理士として、税理士法人の勤務税理士となるのが賢明でだろう。
そこには、やはり強う意思がなければいけないし、資格があるから食っていける時代はもう過ぎた。
挫折をして、再び立ち上げれるような人であれば、税理士稼業は面白いに違いない。
なんとなれば、様々な経営者に会い、その個性を身近に感じ、仕事にも活かせるのだから。
事業承継支援室長
大滝二三男