一般的に経営者の脱税発見の端緒は、企業の経理担当者の゛告発゛だと言う。
つまり、売上除外などを指示するのは、当然経営者の一言。
もちろん、経理担当者に書類が届く前に、社長が処理するケースもある。
こちらは営業担当者からの報告を、経理にまで届かないようにするわけだ。
この場合でも、経理担当者が訝るような数字が報告され、不信を招く。
経営者の職員への対応に問題があり、傍若無人なことが続く。
このような時に、経理担当者が退職させられたりすることもある。
積もり積もった鬱憤が、退職を機会に爆発する。
残業代が未払いなどもこのような時に、労働基準監督署に駆け込むことに。
労基署が残業代の未払いを認めると、全職員の過去3年分支払い命令が下る。
この命令に従うことができずに、倒産の憂き目に遇うこともある。
ところが、脱税の告発となると、罰金さらに懲役刑にもなる。
その告発者が経理担当者であり、時には社内の愛人でもある。
縁の切れ目が、脱税告発でうさを晴らすことになるわけだ。
こんな事情に詳しい税理士も、離職した職員が税務署に駆け込まれる。
もちろん、直接税務署に出向かなくても、ちくればそれだけでいい。
税務署はそれを端緒に動き、税理士を処分できるかどうかを判断する。
この情報を活かせるかどうか、税理士監理官の腕の見せ処。
最近は、国税も税理士を守る立場から、調査対象とも見ている。
これはここ数年の税理士の処分状況を見れば、一目瞭然である。
だからといって、職員を甘やかせなどと言うつもりは一切ない。
ただ、法律を逸脱するような行為は、いつかは暴かれる。
その情報元が、事務所に詳しい元職員しかわからないということ。
勝手知った人の正確な情報だけに、税務署も動きやすいことになる。
そう、脱税も税理士事務所の非違行為の把握は、元職員の告発による。
いつかは暴かれんですね、端緒は何れにしても!
事業承継支援室長
大滝二三男