税理士事務所で定年制を敷いているところは、果たしてどれくらい?
職員が10人程度で、所長が70歳代以降の事務所では比較的多い。
所長が開業した当時は労働運動も盛んで、職員の権利意識も高かった。
そのため 労働協約を締結し、退職金制度と共に定年制が敷かれた。
また、小規模事務所では、退職金規定はなく、定年制もあやふや。
しかし、l規定がないからといって、退職金が支給されないわけでもない。
「長年勤めてくれたのだから、慣例として出してますよ」
特別に積立てをしているわけでなく、所長のポケットマネーから支出。
なかには、中退金を利用している事務所もあり、金額は多くはない。
退職金はなく、あっても少額であれば、自ら貯めるしかない。
しかも、個人事務所の場合、職員は国民年金に加入している。
国民年金では、満足な金額を手にすることはできないだろう。
だから、もし定年制があっても、可能な限り働き口を探すことになる。
実際に定年後の嘱託採用も少なくないし、この傾向は業界にも出ている。
これも、若者が業界に就業することが事実少なくなっているからだ。
業界の賃金は安いが普通で、これがまた足を引っ張る。
ここ1、2年前までは、税理士法人には若者がやって来ると言われていた。
しかし、その噂も今や゛非常識゛になるほど。
会計業界に魅力がないというのが、若者の共通認識にもなっている。
それが証明するように、税理士、公認会計士試験にへの挑戦者も激減。
そもそも若者の夢の対象として、挑戦しがいのある職業でなくなっているわけ。
こうなると、仕事のできる人材を維持し続けるのが、行き残る最良の方法。
そう、定年制があれば、これを廃止し、70歳まで雇用する。
もちろん、老齢化すれば健康状態が最大の懸念となる。
これは毎年個人々でチェックすることで、雇用契約は継続できる。
まさに、一億総活躍社会の一断面になるのが、税理士事務所のかもしれません。
事業承継支援室長
大滝二三男