譲り渡す側は、税理士さんが交渉の相手になりますが、引き受け手は事務担当者が担当することも。
承継希望の税理士さんは必死です。ここ数年、顧問料の減収はこれまでに経験したことのないほど。
先日お会いした税理士さんも、「良い時で、2億円の売り上げはありましたが、今は1憶五千万円です」
地方都市で、大手企業が撤退し、その関連会社も同時に減少。
♪誰のせいでもありゃしない、なんて歌がありましたが、会計事務所には何の責任もありません。
ただ、製造業が日本国内から海外に転出し、その下請け会社もなくなってしまったのです。
地方都市で頑張っている税理士事務所が、それらの企業とともに海外に行くなんてできない相談。
当然売り上げは減少したままですから、事務所の規模を縮小するなどの対策が必要です。
今回面談した事務所の所長さんは、「人員カットはしていません。給与も下げていません」という。
ということは、収益が単純に悪くなっているということ。それでも事務所は成り立っています。
もちろん、コストをカットし、所長の取り分も大幅に減少していますが、我慢我慢です。
しかし、いずれ人員カットなども考えなければならないところですが、営業範囲を拡大策を取りました。
これまでは車で1時間かかる顧問先が限界でしたが、それを2時間までとしました。
これにより、コストはかかりますが、顧問先を増やすことに成功。
だが、このままでは息切れをしてしまいます。そこで、経営環境の良い地域への進出を考えています。
単純言えば、支店を出して、新たな顧客の創造をしようというのです。
とかく保守的な税理士事務所経営者が多い中、この事務所はまだ個人事務所として元気です。
もちろん、支店を作るには法人にならなければいけませんが、業務提携なども視野に入っています。
あらゆる角度で、生き残りを図る、その方策を考えている、そんな事務所が増えてきています。
不況業種と言われる税理士事務所、まだまだ元気な事務所が各地方に存在します。
経営に関する情報にはそっぽを向けている税理士さんが多い中、大いに参考になります。
事業承継支援室長
大滝二三男