平成14年4月1日に税理士法人が誕生して、今年で15年目。
この制度は、税理士事務所の承継を目論むためにできたもの。
実際に個人事務所のオーナーが引退すると、事務所は存続できない。
それに対して、法人であれば、社員税理士が経営を引き継ぐことが可能。
現実に、オーナーが引退して、後継の税理士が代表社員に就任。
大手の税理士法人でも、今や創業者世代からバトンタッチが行われている。
そんな中で、小規模の法人で後継者が決まらず、解消というケースも。
ある法人では、社員税理士に就任した息子さんとオーナーが衝突。
後継者の息子が反旗を翻し、法人自体が崩壊する事態にもなった。
このケースでは、親父様は経営を任せる気はなく、息子との軋轢は増すばかり。
そうこうしているうちに、息子は独自の道を歩くことを決意し、独立。
その結果、法人を維持する条件を満たせず、やむなく個人事務所に復帰。
高齢の所長は息子に事務所を譲ることを諦め、事業を譲渡。
また、知人の子弟を後継者として迎えるために、法人を設立。
自らはすぐにも引退したいと考えていたのだが、それもできず、
若き税理士の能力や考え方をチェックするためにも、準備期間を設けた。
徐々に後継者候補の仕事ぶりも分かってきたが、何か物足りない。
与えられた業務をこなすのは合格点だが、経営者としては?
自ら苦労して獲得した顧問先を任せるには、YESとは言えない。
そんなジレンマからか、後継者候補との考え方の違いが表に出てきた。
時に職員の前で、感情をむき出しにして意見するようにもなっていた。
こうなると、若き後継者候補も我慢が限界となっていった。
そして、父親に税理士法人からの離脱を告げると、父親も了承。
後継者を失った所長は、こちらも個人事務所に戻り、事務所を譲渡。
自らが作り上げた事務所を譲るのは、本当に難しいですね。
腹を決めて後継者を受け入れたはずだが、どうも腹落ちしていない。
そんな先生から、二度と失敗したくないと、仲介依頼が来ることになる。
弊支援室では、それまでの経緯をしっかり把握し、最適な相手を提案。
それこそ失敗はできないので、こちらも慎重に対応することになります。
これからは、法人の事業承継依頼も増えると考えています。
事業承継支援室長
大滝二三男