学校を卒業し、社会人になる際にサラリーマンは向かないと考える人は多い。
税理士を目指した動機を訊いてみると、サラリーマンにはなりたくなかったと言う。
さらに訊ねると、多くの先生が表題のように、人付き合いが苦手と答える。
この答えに首をひねる人も、たぶんいると思う。
なぜなら、税理士は何と言っても客相手の商売。
人付き合いが面倒では、商売もうまくいかないだろうと考えるのが普通。
ところが、税理士業界で一歩先を行くような先生ほど、そう答えるのは何故か?
たぶん、サラリーマンになり、出世争いなどに巻き込まれたくないというのが本音か。
資格試験に合格するまでは、試験勉強中のサラリーマンだが、出世争いはない。
試験に受かり、税理士になれば、独立して一国一城の主になれる。
会社の中で上司や同僚の顔色をうかがいながらの仕事ともお別れ、自分流が通せる。
しかし、顧問先を獲得しなければ、事務所も成り立たないし、生活もまともにならない。
そんな時に、人付き合いは苦手などと言っていられる状況ではないはず。
まあ、事務所経営が順調に行った人ほど、こんなセリフを言ってみたくもなるのかもしれない。
翻って、今の時代、出世争いなどという言葉は死語になったのだろうか、若者からは聞こえてこない。
税理士を含め、社会のそれなりの地位にある人から、若者を評して次の様な言葉が出てくる。
「最近の若い人は、コミュニケーション能力が低い。中にはお客さんと話ができない人もいる」
自分の考えなどを正確に伝えることができない若者が、多いというのだ。
税理士事務所で顧問先を担当する職員が、コミュニケーション能力に欠けると、顧問先も困る。
先生の代理としてお客さんのところに伺っているので、訪問の趣旨が伝わらなければ、アウト。
当然と言えば当然だが、もっと悲惨なのが、税理士試験には合格したが、話が通じない人。
つまり、仕事の話になると、普通ではない。自分の言葉で話ができないという。
それに顧問先に社長の話なども十分聞くことができず、質問されても答えられない。
もちろん、その前段となる世間話も、当然できない相談で、お客さんも話も聞きたくなくなる。
こうなると、税理士であっても、顧問先を任せるわけにもいかない。
当然、コミュニケーションが取れないということで、最悪”クビ”という事態にもなる。
こうなると、人付き合いが苦手だから、税理士になったというのは、結果的には”嘘”となる。
なかには、お客さんにはほとんど会わず、職員任せという先生もいる。
これは、もうお客さんを精力的に獲得する段階は終わり、”防御”に回った人の話。
そうなっていれば、もう人付き合いは面倒と言っても、だれも異論は挟まない。
でもでも、勤務税理士で良いと考える人でも、最低のコミュニケーション能力がなければいけません。
それこそ、レッテルを貼られたら、それを剥がすには相当の努力が必要です。
そう、税理士として成功し、コミュニケーション能力何するものぞ、と見返してほしいものです。
本日は、事業承継というより、次代の資格者へのちょっとした話題でした。
事業承継支援室長
大滝二三男