雑誌などに、ライバル関係にある企業の生涯賃金が、掲載されている。
掲載企業のほとんどが、上場企業か、非上場でも日本を代表する企業。
我が業界では、賃金を公表している事務所は、皆無だろう。
10数年前にホームページに公表していた事務所も、法人化後は非公開。
当時、高給が公表されたことで、同業者から、゛批判゛も出たという。
安月給が当たり前だった業界には、ショックだったわけだ。
しかし、徒弟制度的な給与体系も、今は合わなくなっている。
とは言うものの、労働生産性の低い業種だけに、早々高給は出せない。
個人事務所の場合は、資格ビジネスの有資格者・所長の゛経済゛が優先。
仕事のできる家族職員がいれば、他の職員に比べると、高い給料になる。
ここの職員の給与は、所長だけが知っており、振り込みも所長の仕事。
定期的な給与アップも支給されて、初めてその金額を知る。
個人企業だけに、このような例はまだまだ多いはず。
その一方、新卒の学生を定期的に採用する法人では、俸給表を公表。
数年後の給与は、俸給表からおおよそ予想ができ、近い将来は読める。
新人職員も゛歯車゛に組み込まれ、組織の一員として動く。
戦力化できる時間も個人経営に比べると、かなり速くなるようだ。
ここに来て、何と新入社員の生涯賃金を提示する事務所が現れた。
それも10数年前から提示しており、その事実は職員のみが知っていた。
この事務所、地方の雄で、知る人ぞ知る有力事務所。
所長いわく、採用時に生涯賃金を提示できるので、定着率は抜群。
その弊害は、永年勤続者が多く、給与のウエートが高いこと。
さらに、できる職員ほど高給になるから、職員も積極的。
研修も外部ではなく、職員が実績を元に実務に有効なテーマを指導。
身近な研修で、実戦力は全職員が切磋琢磨で身に付けていく。
これも生涯賃金が分かっているだけに、積極的な行動ができるという。
その賃金体系を維持するために、何と職員と同年輩の顧問先を獲得する。
所長と同年輩の経営者・顧問先には、あまり期待をしていない。
若手経営者を獲得するために、提携する士族も若手に切り替える。
そうすることで、30代~40代の経営者が増え、高齢化による不安を一掃。
良いことだらけに聞こえるが、ここまで決断できた所長の苦労は如何程か?
事業承継の研修テーマでもあるが、いかがでしょう?
事業承継・M&A支援室長
大滝二三男