米国の市民は、原則としておよそ800ドル(?)の収入があれば、申告。
いわば、働く人全員が、毎年所得税の申告を行うことになっている。
今やインターネットの時代だから、多くの人がネットで申告書を送付。
それも、100ドル前後で申告用のソフトを購入し、自分で作成。
日本のように預金利子や株の配当などは総合課税、これも申告。
収入が複雑になると、自分で作成するのは難しく、専門家に依頼する。
その代行業者のトップは、全米に支店を多くH&R ブロック社。
一時期、株の神様といわれるバッフェトが大株主だったと言われる。
同社は、申告シーズンになると、臨時の事務所も各地のオープンする。
職員もほとんどが同社で教育を受けた人だが、中には米国税理士(EA)も。
彼らは単純な申告書ではなく、税法を駆使しなければいけない申告を担当。
当然、作成料も高くなる、いわばプレミアムクラスの専門家だ。
そんなプロには、毎年常連さんが税務申告書作成を依頼にやって来る。
依頼者の個人情報も分かっているので、面倒なやり取りもない。
確定申告期間中の1月から4月までの間に、100件を超える件数をこなす。
数年間、同社で働いていたプロたちも、やがて独立し、開業する。
そんな一人が、今回の視察のコーディネーターを務めたEAのHK女史。
独立して3年。ただし、退職後2年間は旧依頼者との接触は禁じられていた。
今年はその約束ごとから解放され、昔のお客さんに営業をかけたという。
その結果、およそ90%の客が改めて申告書作成依頼があったという。
日本では考えられないが、米国では自由競争。何ら障害はない。
自身も90%も戻って来るとは考えていなかったが、今は大満足!
こんなことが日本の税理士の間で起こったら、大騒ぎ。
しかし、営業・広告は自由だから、そのうち日本でも起こるだろう。
職員が辞めてお客を持っていってしまう話が、後を経たないわけだから。
さて、厳しくなる経営環境の中で、今後はどうなるのでしょうね?
事業承継支援室長
大滝二三男