超高齢の先生が引退を決めて、事務所の承継を依頼されたそうです。
その事務所を受け継いだ税理士さんの”悲鳴”です。
この超高齢の先生、半年前からお客様に引退を告げ、同時に長年使えてきた職員の方々も先生と一緒に仕事を辞めると、こちらもお客さんにはっきりと表明されていたそうです。
こうなると、お客さんも当初半年後にはどうなるのだろうと不安に駆られ、いいお客様ほど即優秀な先生を見つけて移っていたそうです。弊支援室もかつて同じような経験をしています。
こちらの場合は、先生が病気で再起不可能ということで、承継先を探していらっしゃったのですが、その際職員の皆さんも俗に言う定年延長組でしたので、「うちの先生、辞めますので、いい先生を探してください」と触れ回った後の依頼でした。その結果、弊支援室が対応したときには、お客様は三分の一以下にまで減少していました。
それでも、高齢の職員の一人が承継した事務所に残り、従来からのお客さんに対する対応を十分に行いましたので、その後は顧問先が移っていくことはなくなりました。とはいうものの、病気で再起不能になっていた先生への謝礼はごくごく少なくなってしまい、ご家族からはちょっぴり不満も出てきました。
このような話はわれわれと直接面談した際にお話しすることはありますが、守秘義務を負っている弊支援室では、おおぴらにお話しする機会はありません。ですから、前述の先生のような”悲鳴”が上がるわけです。
事業承継は類型化することはできますが、十人十色ではありませんが、実情はまさに百件が百件、異なります。慎重に委譲しようとする先生のご事情を把握し、同時に事務所の中身、お客さんの経営状況までも丹念に調べ、初めて交渉の条件を提示します。
「こちらの先生が承継を希望されていますので、よろしくお願いいたします」と後は双方の所長さんにお任せでは、何のために仲介業務をしているのか分かりません。物品販売業(失礼をお許しください)とは同レベルで論することはもってのほか。
同時に契約が終わっても、その後の引継ぎがスムーズに行われるのかどうか、問題点はないのか、1年2年経過しても、承継された事務所のお客様は定着しているかどうか、などなど数年後までも見守るのが、弊支援室の流儀です。そうできないのであれば、事業承継の仕事はやらない方がいいでしょう。
事業承継支援室長
大滝二三男